v N11
今も松杭に支えられている
1日の杭の日に私の個人フェイスブックに友人からコメントがありました。
御堂筋にある創業百年以上の会社の代表者です。彼のビルも基礎は松くいらしいです。
彼いわく。
「今も松杭に支えられているところが少なくありません。
地中にあると、つまり水分があると腐らないのだそうですね。」
エッ!! 一般にはこのように思っている方もいるわけですね。
それで今日はマツ杭と腐れについて少し述べます。
世界的にみても木杭は利用されていました。ヨーロッパでは1000年以上前から利用され、ヴェネツィアも木杭を使用した[歴史ある街ですし、日本では城の基礎に採用されたり、前の東京駅、丸ビルなどもそうです。
当社では大阪の創業時には杭丸太の専門会社でした。いろいろな逸話が残っています。
昭和29年 大阪の業界長老が大阪市のある入札で「中川が納入できたら、心斎橋を逆立ちして歩いてやるわ」と言われたが、12m 24cmの杭500本を大阪市に納入、業界を驚かせました。
昭和45年 松杭丸太 21m 20cm 450本を大阪市港湾局に納入する。これも当社の会社信用を位置づけました。
昭和50年 大阪市港湾局の入札で松杭 24m 50本あり、役所も同業他社も当社に電話集中、同業他社は入札してしまったら、調達はできないし、役所は本当に当社が輸入できるのか心配で連絡してくるわ、大混乱だったとか。
写真はその24mの杭丸太が米国から木材専用船のオンデッキに積み込まけたものを陸揚げしているところです。
これを最後に木杭はなくなりコンクリート製の杭にとって変わられるようになりました。
ところが、最近木杭が見直されてきています。
環境問題があるからです。コンクリートや柱状改良杭工法(セメントと水と土を攪拌し杭を造成する工法)などでは
50~100年後引き揚げる場合に撤去やその処理に問題をのこすからです。
木杭の場合は、杭や丸太としてそのまま再利用ができます。かりに使えなくなっても焼却やチップにすることで、環境問題は起こりません。
さて、腐れの話です。
木の腐の進行は簡単に言うと、「水」と「酸素」の2つがあることが条件です。AND条件です。or条件ではありません。別の言い方をすると、腐らないようにするには水か、酸素のどちらかを無くしたら腐りません。
住宅の外に木を使っている場合は、水と酸素があるので、腐れが進みますので、水がすぐになくなるようにしていれば腐れはなかなか進行しないのです。ウッドデッキでもこのことにふれたことはありますね。
松杭は地中にありますので、水はありますが、酸素がカットされています。それで腐らないのです。
川の中の丸太もそうで、水で酸素が行き届かないからです。とくにヘドロなどは一番木にとってはいい環境で腐りにくいものです。
当社でも以前は、古い大阪市関係の建物の解体後の抜いた杭を引き取り、水洗いしたら新品になり、また販売することができました。針葉樹は伐採後何百年経ても強度は衰えず、逆に曲げ強度、圧縮強度は強くなってゆきます。ヒノキなどの場合は1300年くらいで、伐採時と同じくらいです。