同業他社が施工したウッドデッキの再構築(やりかえ)に当社が施工することもよくあります。
担当者ブログから転載・引用します。
兵庫県川辺郡猪名川町のM邸アマゾンジャラデッキです。
施工後11年になる既存のウッドデッキが腐っているとのことでした。
11年も経過すると、デッキ材の樹種判別は状況証拠による推測となることが多いのですが、このデッキはすぐに分かりました。
防腐処理した合板を使用した床板は、横から見るとベニヤ板のように積層になっていますので、大手同業者さんの製造する商品です。
この材は床板として使用すれば合板の断面は見えませんし、表面は無垢の木材でありながら、耐久性はバツグンですので、
他社製品でありながら、非常に良いものだと思います。
ところが、床下の木材は白色腐朽菌にやられてしまっています。床下構造はサザンイエローパインです。
この木材自体の耐久性は低いのですが、導管がまっすぐ通っているため、防腐剤を加圧注入すると、芯のほうまでしっかり防腐処理ができるため、耐久性が飛躍的にアップします。
床板はほとんど傷んでいませんが、サザンイローパインはボロボロで、一部ジャッキアップされていました。
サザンイローパインは当社でもUSJの工事で大量に使用しており、防腐注入処理によるあばれは気になるものの、耐朽性に関しては信頼していたので、ちょっとびっくりしました。
ただひとつ違うことは、当社ではアメリカで加圧注入したサザンイローパインを輸入していました。
日本の防腐注入処理の圧力の倍以上の規格で注入しており、その差が出たのでしょう。
既存のデッキ撤去完了したあとは、ほとんど雑草は生えていませんでした。
高床デッキでない限りはこんな感じですので、わざわざ手間とお金をかけて防草対策する必要はほとんどありません。
あたらしいデッキは少し拡張します。
一番の見所はベンチです。
少しずつ進化しているこのベンチですが、今回もまた課題がありました。
ベンチが必要なのは一部であり、その他手摺だけの部分が欲しいとのご要望がありました。
深く考えなければなんてことのないご要望なのですが、ここはベンチと手摺のデザインの一貫性を大事にしたいと考えました。
笠木部分は背もたれと一体型のl字型で手摺部分まで伸ばし、手摺部分の横板をベンチ下まで伸ばしています。
横板はただデザインだけで伸ばしているのではなく、ベンチの桁を受けるための構造材として機能しています。
コストダウンのためには、デザインだけのためだけに無駄なことをしていられません。
お庭側からはベンチの後ろ側が見えることになりますが、機能美として成立しているのではないでしょうか?
このベンチの配置は、永遠に邪魔されないであろう借景を愛でながら、食事やコーヒータイムを楽しむための施主さまのこだわりです。
手摺もステップも無い部分を残しておくと、お庭いじりの際の腰掛けとして調度良い高さになります。
木目は様々なものがまじります。
人工乾燥していますが、干割れは細かいものが早めに現れます。
アマゾンジャラに限らず、木材にとっては倉庫内から雨ざらしにされた施工直後が最も環境の変化が激しいので、干割れは施工直後が最も現れやすいのです。
水に濡れると、右の板のように水をはじいた境界線の跡が残ります。
これはウリンやレッドシダー等、他のウッドデッキ材でも生じる現象ですが、アマゾンジャラの場合は粘り気のある樹液が溶出し、乾燥するとワックスがけをしたように光沢をもった層ができます。一面にそうなってくれれば綺麗なんですけど、どうしてもムラになって乾燥します。
半年もすれば褪色し目立たなくなります。
撮影完了後は早速テーブルを出して、ティータイムを楽しませて頂きました。
施主さまご夫婦とともに記念撮影までして頂き、認められたという実感が湧き、嬉しくなりました。
打ち合わせの時から施主さまのウッドデッキに対する愛情が感じられ、相見積でしたが、当社で施工させて頂き、なんとしてもご満足いただかなければならないという使命感に駆られました。
ご注文頂いたのが年度末工事の真っ最中で、施工完了まで2ヶ月以上お待ちいただき、ありがたい限りです。
本当に必要とされるお仕事ができ、達成感の大きい現場でした。