今日は当社の新人教育の資料からです。
木材を腐らないようにする(防腐処理をする)です。
JASで規程されている防腐薬剤を加圧注入すれば耐久性がアップするのですが、これをなんでもかんでも加圧注入防腐すれば耐久性が上がると思っておられる方がけっこう多いです。
木材でも含水率が高いと中の水が邪魔をして防腐剤は浸透できませんし、心材の部分は沈殿物がたまっているので、やはり防腐剤は浸透できません。
ですから、心材の場合、写真①の断面のように防腐剤は表面のみしか入っていません。
よくホームセンターでデッキ用としてSPF材の加圧防腐処理されたものが販売されていますが、この材の場合、表面のみしか薬剤が浸透していませんので、デッキに使っても、内部から腐って、とてもデッキ用として使える木材ではありません。
それでは、薬剤の浸透しやすい木材の辺材部分だけを使ったらどうかと言うと、これが薬剤の浸透性能が抜群で、もともとは腐りやすい木材であった材で、おまけにその辺材と言うさらに腐りやすい部分でも非常に耐久性のある材になります。
ただ、このような辺材だけで材料が作れる木材と言うのは限られていて(丸太の内、辺材部分の比率が高い木材)います。
実際には、アメリカ南部地域産出のサザンイェローパインか、ニュージーランド産のラジエーターパインの2種類しかありません。
そのため、ほとんどの木材の場合、加圧注入してもJASの基準は通りませんので、写真②のように表面に無数の傷をつけて、表面から薬剤を加圧注入することができるようにしています。
この傷(インサイジングと言います)があると、手足に触れる部分には使えませんので、
建築の土台等の見えないところにこの処理をされて木材が使われています
写真③は国産の間伐材ですが、このような丸太の場合、周りの辺材は腐りやすいものの、木の組織であるパイプ状の細胞には沈殿物がなく、加圧防腐すると防腐剤は浸透しやすく、耐久性のある辺材となります。
これに対して中の赤い心材は耐久性のある沈殿物はあるものの、防腐剤は浸透しませんので、加圧防腐した辺材よりは耐久性は劣ります。
かくて間伐材を加圧注入防腐処理すると、本来腐りやすいはずであった辺材が耐久性のある防腐層になって、廻りを守っている状態になり、ある意味理想的な防腐処理材と言えます。