今日は木材の勉強シリーズ、木材を理解するうえで大事な水分の話です。
木材の含水率は、その中に含まれている水の重さを絶乾状態の木の重さで割った比率で表します。
(食塩水の濃度のように含水率の上限は100%と言うことはありません)
例えば、国産の杉であれば、立木の時はこの図Aように、水が細胞の中に一杯ある状態であれば、
含水率は200%を超えます。
木材の細胞はパイプ状の構造をしていますが、生木の時は図Aのように水は細胞のパイプの中に一杯たまっています。
これを自由水と言いますが、ここから乾燥をしていくと、このパイプの中の水が抜けていきます。そして含水率が25%~30%の時点で、
次の図Bのようにパイプの中の水が完全になくなった状態になります。この状態を繊維飽和点と言い、これを境の木材の性質が変わります。
この繊維飽和点の含水率でも生木の状態に比べるとかなり乾燥していますから、これで加工ができると思われると大間違いです。
この状態からさらに乾燥をすると、こんどは、細胞壁自体の中の水が抜けていきます。
つまり細胞と言うパイプそのものの中の水(結合水と呼ばれます)が抜けていきます。
すると、細胞の結合水が抜けたことにより変形収縮します。図C
そのため、これが木材の割れや反りになります。
含水率が15%程度になった時。つまり廻りの湿気との兼ね合いで、つり合いが取れた状態を平衡含水率と言います。
これは同じ木材でも日本と外国では湿度が異なるので、この平衡含水率も変わります。
空調のない住宅では、天然乾燥された木材を使って住宅内装や家具に加工しても問題なかったのですが、
空調がきいていると乾燥はさらに進み、木材の含水率は10%ぐらいまで下がります。
と言うことは日本で100年天然乾燥させた木材でも、室内にもってくると、
さらに乾燥してひび割れや反り・曲がりが発生します。
そのため、室内用に使う木材は、人工乾燥をしてわざと自然状態よりも低い含水率にする必要があります。