さむい さむい 冬の夜。
公園の おおきな木の下で、
ちいさな猫が まるくなっていました。
「さむいなぁ……」
「おなか、すいたなぁ……」
ぐうっと おなかがなります。
だれもこない 夜の公園。
ねこは そっと 空を見あげました。
「お星さま、だれか きてくれないかな……」
そのとき、
やさしい声が きこえました。
「どうしたの? おなかすいてるの?」
女の人が そっと手をのばしました。
びっくりしたねこは、
ぴょん、と 木のかげにかくれました。
でも――
その手は あたたかかったのです。
「いっしょに かえろうか。」
女の人は やさしく言って、
ねこを そっと だきあげました。
おふろに ちゃぷり。
きれいにしてもらって、
ふわふわの タオルに くるまれます。
あたたかい 毛布と、
おいしい ごはん。
「あなたの なまえはね、
“だいふく” にしよう。」
「いっぱい “ふく”が きますように。」
女の人は にっこり ほほえみました。
だいふくは ごろごろ のどをならしました。
“なまえ”を もらったのは はじめてでした。
それから だいふくは げんきになって、
新しい おうちを さがしてもらいました。
ある日、
あたらしい家族が やってきました。
「この子を おうちにむかえたいです。」
だいふくの しっぽが、
うれしそうに ふるえました。
いま、だいふくは
おひさまの ひかりの中で、
窓のそばに すわっています。
もう、さむい夜を ひとりで すごすことはありません。
今日も だいふくは――
ごろごろ ごろごろ
しあわせに のどを ならしています。
おわり。
🐱このお話が伝えたいこと
* 保護猫とは、捨てられたり、迷子になったりした猫を保護し、新しい家族を探す猫たちのこと。
* 保護猫活動をする人たちは、猫の命をつなぐ「橋」のような存在です。
* 保護猫を迎えることは、「命を救う」やさしい選択です。