1994年 従来のデッキ予算の1/3から1/4で施工し協会から感謝された。 このように低価格で出来たのは特別のノウハウがあったからだった。和歌山リゾート博覧会施工例
講演会の記録から
大阪の大型テーマパークの屋外用木造施設や木質エクステリアのほとんどを私たちの会社で仕事をさせていただけたのは 和歌山リゾート博での経験があったからです。
大阪のテーマパークの仕事は日本全国から、業者が狙っていました。「ありとあらゆる業者が参入してきた」と後にゼネコンさんから聞きました。 そんな中で当社は営業マンもいないわけですから到底、仕事は取れないとだろうと思いがちでした。 しかしあきらめてはいけない、少しだけでも受注できればと願っていたのです。そうしたら、あるところから小さな仕事を受注でき、 そのあと、ゼネコンさんの紹介で次々に仕事が増えてゆき、最終的に10社ほどの建設会社さんから、テーマパーク内のさまざまな場所の仕事を受け 結果的にほとんどの木造施設工事を受注する事ができました。まるで夢を見ているようでした。
リゾート博覧会も同様で、開幕は近づいてくるのに、ゼネコンさんからの仕事の話は一向になく、あせっていました。 たまりかねて、私はある日、リゾート博覧会協会に飛び込みセールスをしましたら、 「ちょうどよかった、今困っているところだ」との事、どの会社もボードウォーク(ウッドデッキ)を受けてくれるところがない おたくが出来ないなら、もうウッドデッキはやめてコンクリートでやってしまおうかと考えているというではありませんか。
「ぜひやらせてください」とお願いし、予算を聞いて会社にもどりました。 社内で、この話をしたところ、「そんな予算では不可能ですやんか、社長は何もわからんのやから」と笑われました。 しかし、あきらめてはと思い、考えたところ、リゾート博という趣旨から考えて、いままでのような完璧な ボードウォークでなくてもかまわないのではないか、米国のような荒いものでも出来るのではないか、と考えたのです。
当時は役所の工事であれば、完璧なものを求められていました。リゾート博協会も役所と同一と思っていましたし 業者はその基準で考えていたのです。 そこで、当社の岸和田支店に話を持って行きました。岸和田支店は土木仮設材を専門にしている部門ですが、ここの材料は木材の中で も、品質も悪く、とても住宅などには使えません。そのため低価格なのです。しかし強度はあります。 この材料を使えば可能になるのではないかと考えました。支店では前向きに考えましたが、それでも予算とはかけ離れていて合わないのです。 なんとしても仕事を取れるように、との意向を使えると、当時の責任者は画期的な案を考えだしました。
ここからが今まで外部に話していない当社のノウハウなのですが、 今後環境が叫ばれる中、利用した木材を会期終了後に破棄することはもったいない、国際花と緑の博覧会の時のように破棄するのは 私たちは廃棄費用をもらえて良いが、あまりにももったいない。会期終了後に再利用すれば、その分コストが下がる。
ということで考えた結果、先にゼネコンさんに、リゾート博覧会終了後の引上げ材を販売予約しておき、その価格分を引いたコストで リゾート博覧会の工事を施工しました。当時の一般価格の1/3の予算で工事する事が出来ました。おまけにB級木材のおかげで、敷き詰めた会場の雰囲気がより出るようになりました。
協会には大変喜んでいただき、 当初の予定より多くの現場を施工させていただきました。 そんなに低価格でしたのに当社も利益がでましたので、階段やスロープなどの商品(工事)を施設提供することが出来、 博覧会マークの利用もする事ができました。
会期中は大変暑い日がつづき、照り返しも強かったことから、もしあの広大なウッドデッキがなかったら、 会場はより大変であったろうと思うと、会社の仕事の使命感と達成感と自信がつきました。 ここでのポイントは最後まであきらめないという事と、従来の完璧な商品ではなく、荒々しい商品で企画提案したということです。 こちらのほうが加工度合いが少なく、よりエコ商品となります。 大阪のテーマパークはこの2つの教訓をそのまま活かしました。