これからの木材経営
中川木材産業株式会社取締役社長中川勝弘
今ほど、真剣に経営に取り組まなければならない時代はなかったのではないでしょうか。
特に私達の木材業界は後に述べる理由から、時代の波に乗るようにしなければ、他の産業から押しつぶされてしまうような気がしてなりません。
では、木材関係の経営者はどのようなことに注意しながら経営をすればいいのでしょうか。
各々の業界固有の戦略は別として、私が考える共通することを3つ述べます。
1、「感性豊かな気づき」、2、「情報化」、3、「願望」。
「感性豊かな気づき」これには、まず世の中の流れを捉える能力が必要です。
いくら今売れるいい商品を持っていても、優良得意先を持っていても、この感覚がなければ、時代に取り残され気づいた時には事業の転換が出来なくなってしまう恐れがあります。
時代のサイクルは急速に早くなり、木材業界人が感じているスピードは、はっきり言って遅すぎます。
そして気づきは、俗にいう問題意識です。
経営というのは、様々な問題が出てきてそれを解決しながら、プラスの方向に持っていく、そしてまた問題が出てきてまた解決する。
この繰り返しであり、永遠に続くゲームのようなものです。
些細な事でも気がつかずにおれば、スピード化されたこの時代には、命取りになることも十分にありうることです。
では、感性と気づきはどのようにして他の進んだ業界人と同様に得ることができるのでしょうか。
まず業界人だけでなく、企業文化の違う異業種の経営者、年齢が大きく違う若い人との交流などから得ることができます。
もちろんマスコミからの情報集も重要な手段です。
また、猛烈に勉強をしたあと、心からの反省、気分が高まったときなどには、問題点やあるいは反対に感謝すべき点がいくつても出てくるものです。
このようなときに思うこと、考えることを自分に癖付けることです。
理詰め解釈ではなく、常に物事に動物的な意識もつことで、体得できるものです。
しかし、感性も気づきも、鋭いよきブレーンを持つことです。
次は、誰もが重要と思うことの「情報化」です。
近い将来この情報化が会社業務、特にスピートとコストダウンの2つにおいて他社(同業や他の業種をも含め)との競争対して勝てるかどうかの決め手になると思います。
スピードは商いの情報収集と商いや会社としてのアイデンティティ情報の発信に大いに関係してきます。
これの一番の手段がインターネットです。
インターネットは単なる流行でも、個人趣味でもありません。
いままでになかった情報とコミュニティの双方向意思媒体です。
また、コストダウンはデシタル化によってもたらされます。
この点は実際に業務を体験しなければ、理解できにくいと思います。
「たかが文書を保存することがそんなに効果があるのか」というように思われますが、私達のビジネスでは木材や木製品などのモノはたしかにデシタル化はできませんが、もの以外の業務関係ではほとんどがデシダル化の対象になっています。
たとえば、企画開発にかかわるコンセプトづくり、ネーミング、イラスト、広告版下、カタログ作成、企画提案プレゼンから得意先担当者とのコミュニケーション、仕入先との連絡、図面の作成、在庫管理、伝票の記帳から始まり商品代金の回収、銀行との連絡、商品配送手続き、また社内業務では各種帳簿、知識データーベース、ファイリングなどです。
どれも手作業では出来ないこと、つまり文字のデジタル化だけではなく、写真、音、映像などが同時に処理保存分類がおこなえ、一度保存すればその利用対象を変化させて再利用できるのです。
そして再利用は基本的にコストはゼロとなるのです。
そして再利用また再利用の連続で結果的にコストダウンと同様の効果になります。
さらに、人と人とのコミュケーションでは相手を認めるという行為が重要になりメールやテレビインターネット(テレビ電話)その他の様々な手段が現れてきますが、みんなが同じ手段では差別化はできず、ここでどれだけデジタル化した資産を持っているか、利用できるかによってそれらの手段が有効になってくるのです。
そして今、これらのデジタル資産を有効的に利用することが経営者に必要なことです。
しかし、すべてデジタル化できるわけではなく、最終的にはホモサピエンス-サピンスである私達の情報化戦略や、コミュニティ手段の究極は会って話しをすることも忘れてはなりません。
最後に「願望」ですが、会社や事業を継続したい、赤字を出さない、社員とその家族を幸せにしたい。
いい仕事をして社会から評価を得たい等と誰でも計画段階とか、年初のとき等に思います。
しかしれだけではダメで、いつでもどこでも、寝ても覚めても思い願い考えつづけ、夢の中にまで考え続けるぐらいにならなければなりません。
今も昔も経営者にとって一番大切な事です。
木材業界について、もっと大きく地球規模で考えると、現代の一番すばらしい自然素材に携わる業界です。
なぜなら、もっとも環境負荷の少ない自然素材は木材だからです。
また、地球全体の環境と現代文明の維持としてのキーワードは森林であり、その効果的な維持をするための産業として、林業があります。
これらのことはもう常識として多くの人に受け入れられています。
このように私達をとりまく環境は、私達の会社の経営理念に入れても何の違和感もなく調和できるものです。
他の産業の方々が経営理念の構築に苦労されたり、上場会社の30社近くが一見会社業務と関係無いと思われる植林事業や緑を企業テーマにをすることなどを考えれば私達の業界はなんと恵まれていることでしょう。
このような社会環境の中、私達は会社の規模を問わず、事業をすればするほど地球環境に貢献しているのです。
思いきり仕事ができるのです。
社会に貢献するために、神は今、恵まれた環境を私達業界に与えて下さっています。
何としても会社の存続発展のためには様々な行動と努力を惜しんではなりません。
そのための第一歩はまず、「やろうという強烈な願望」です。