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インターネットホームページを開設して

中川木材産業株式会社 取締役社長 中川勝弘
1.なぜインターネットだったのか社長になって9年目となりますが、数年前まで会社の経営理念について自分で納得のいく答えがなく、悩んでおりました。
木材業というものに少し違和感と言うのでしょうか、もうひとつ、木材をなぜ売っていくのか、はたして社会に貢献しているのか等と自信がなかったのです。
そんな時、京セラ会長の稲盛さんが主宰する盛和塾で、経営理念の大切さを教わり、じっくり考え、自分で満足のいく理念を創ろうと決心しました。
そこで私は、まったくの素人にもどり木材の勉強をやりなおしました。
そうすると今まで自分も知らなかった事がずいぶん出てきて、木材の長所や短所だけではなく地球環境の問題にまで範囲が広がったのです.たとえば、樹木は老木になると光合成などの呼吸作用が少なくなり、俗にいう炭酸ガスを吸って酸素をだすのは若木が成長する過程でおこなうこと、老木は伐採し産業材料として再利用することの方が、炭素の固定化となり、そのあとに植林しあるいは自然に若木が育てば炭酸ガスの増加を防いでくれるのです。
つまり適切な伐採を行なえば森は再生し永遠にリサイクルができるのです。
また今の地球環境の9つの問題の中で、地球温暖化やオゾン層の破戒による紫外線増大等の問題から考えると過度の商業伐採による森林破戒を除けば木材は地球に一番やさしい材料となるのです。
いま地球は病んでいます。
自分達の経済最優先の行動はこれからの時代では受け入れられなくなるでしょう。
しかし生きていくうえでの調和のとれた経済活動が必要で、このような時代に環境負荷がもっとも少ない素材は木材をおいてありません。
このことを知ったときは自分で自分の仕事に誇りがもて、嬉しくてたまりませんでした。
そして会社の経営理念に取り入れました。
しかし このようなことは材木屋でもなかなか理解していない事ですから、まして一般の人にはわかりにくい事で何とか一人でも多くの人にこの事を知ってもらいたいと思いました。
講演会など何か木材について話してくれと招かれたときには決まってこれらの話をしています。
しかし講演会で話をするだけでは限られた人達だけです。
私のスピーチの質もよくないので、説得力にかけます。
どのようにすれば多くの人に今の時代、木材が産業資材として一番すばらしい材料であり、またこれからの資源枯渇時代に向かって行くときに木材を有効利用する事を知らしめればいいのかを考えていたときにインターネツトの存在を知ったのです。
セミナーや講演会に昨年4,5回参加勉強し、いままで探していたものがインターネットで実現できると感じたのです。
インターネットカフェに行き2時間ほど実際に触れてみて、文字だけでなく画像や音声、動画等が見ることができて国内だけでなく海外にまで瞬時に飛び移ることができます。
しかも普通のパソコンで簡単にできることに驚きと感動をおぼえました。
なんとかこれを利用して木材のすばらしさを多くの人に知らしめようと考えたのでした。
しかし、私たちの会社は典型的な中小企業です。
人への啓蒙普及活動は大切ですが、それだけでは会社はやってはいけません。
インターネットを利用すれば低コストで商品PRができる、通信販売ができる、またこれからの情報社会に早く慣れることができる等、ビジネスで利用できる事も考えました。
インターネットを今から利用すれば大企業と対等に競争することもできるのではと思いました。
このように考えれば考えるほどインターネットを利用しない方が損だと考えるようになったのです。
2.どのような苦心があったのかさて、インターネットをやりたいと思い、そのためにはwindow95が必要と考えました。
このことが現在はよかった選択と思える点であり、またインターネット利用についての最大の難関になった事だったのです。
今は会社のすべてがwindow95で動いており、社内ネットワークも稼動し、みんなが新しいシステムになじんでいます。
しかし今年の初め従来のwindow3.1 マシンにwindow95を上書きし、さらにインターネットブラウザーをインストールしましたが、問題なくインストールしているのにマシンが正常に動いてくれないのです。
4-5回はハードディスクのフォーマットからインストールまでをやりなおしたでしょうか。
結局window95が動くようになったのは、1カ月以上たってからでした。
次は通信関係の手配です。
もともと私にとってパソコン通信は苦手な分野で、通信速度が300BPSの時代にPC-VANに入会してパソコン通信を始めたものの、数回アクセスに成功した以外はうまくつながらず、昨年まで何の手も打たずほうっておきました。
やっと昨年6月からNIFTYに入会しパソコン通信を再開するようになりましが、そんな失敗体験があるものですからインターネットの接続にも自信がなく、実際大変苦労しました。
接続設定作業の時は、それはそれは大変な騒ぎで途中何度も挫折しそうになりました。
ここであきらめたらまた前のパソコン通信の失敗と同じになる。
またインターネットはどうしてもやらなければという思いで必死にメーカー、ソフト会社、プロバイダーと連絡交渉しました。
当時を思いだしてみると、プロバイダーに申し込んだ翌日にIDをもらい順調だなと思っていましたが、いざ実際に接続を試みたところ、うまくいきません。
プロバイダーには接続は出来ているのですが98マシンからの応答が出来ていないようでした。
プロバイダーに相談すると、マシンを持参すれば調査してくれると言うので9821Xa9一式を持参し見てもらいました。
夕方から深夜11時ぐらいまで通信の専門家が2人がつきっきりで調べてくれたのですがつながる時とつながらない時があり、結局原因不明でマシンを持って帰りました。
翌日事情をメーカーに話し、技術者の方二人に会社に来てもらい、5時間ぐらい調べてもらいましたが、ここでも結局うまくつながりません。
結局、その日は時間切れで、マシンを持って帰り、検査する事と翌日代替機を持ってくるということで終わりました。
数日のうちに再度マシンが届き、やっと安定してつながるようになりました。
原因は通信ポートのモジュールにバグがあったとの事です。
私は他の業務をほぼそっちのけで1週間もパソコンにかかりっきりでした。
(その後約20台のマシンを新規に購入しインターネットへの接続をチェックしましたが、現在発売のマシンでは問題はないようです。
)接続した時は、インターネットカフェで慣れていたので、すぐにネットサーフィンを3時間ほどしてしまいました。
そうなるとすぐホームページを作りたくなり、また大阪 日本橋にソフトを買いに走りその晩30分ほどで作成しました。
こんなに簡単かと思ったのもつかの間、プロバイダーへのファイルの転送の方法がわかりません。
翌日の日曜日また日本橋に書籍を買いに走り FTPなるコマンドがあることを初めて知り、月曜日に無事ホームページを開設することが出来ました。
結局インターネットのホームページ作成にかかった時間はマシンの設定と接続に約2カ月、最初の数ぺージのホームページ作成に30分という極端なエネルギー配分でした。
3.どのような運営をしているのか中小企業の悲しさで予算をまったくとることができないので、企画会社に頼まずにすべて自前運営です。
デザイン等は自分にセンスがないのでちょっと自信がないのですが、内容があるものにする事で許してもらおうと思っています。
現在のところ制作者は社長の私と企画関係の女性役員とで作成しています。
約70%ぐらい私が作成しているでしょうか。
毎日少しづつ作成してはサーバーに送り込んでいます。
この5年間ぐらいにいろいろな木材関連情報をデジタル化してきましたので、基礎的なデーターは以前からあるのでネタ探しや入力の手間はかかりません。
また画像処理も以前から会社パンフレットなど作成するに利用していましたから、スキャナーで写真等を取り込むのも馴れていました。
日常の業務と同じような感覚でホームページの作成、メンテナンスをしています。
作成したホームページのファイルの転送はUNIX言語を少し覚え、簡単なコマンドで行っております。
1週間に2、3度作成してはファイル送信をしています。
現在社内でインターネットの委員会を作り若手社員で作成できるような方向で進めています。
4. どのような効果があるのか特にビジネスが増えるとか特別有用な情報収集ができるという事はいまのところありません。
一番効果があったのは広報としてです。
これは木材会社としては多分初めてだったのでいろいろなところで取り上げて頂いた事があったからだと思います。
また現得意先や異業種の会社の方々から新しい事に精力的に取り組んでいるという評価をずいぶんいただきました。
特にページ数の多さに驚かれた方が多く、最初は会社紹介程度と思って覗いて見ると、多くの情報があるので驚かれるというパターンです。
この効果というのは私たちの会社ではコストと比較してどうかという事です。
つまりインターネットのホームページ作成に関しては開設前のマシン設定などで私の時間をかなり使いましたが、基本的に外に出ていく費用はほとんどありません。
また通常のホームページ作成もそんなに手間がかかりません。
写真があれば1ページ作成するのに5分もかからないでしょう。
当初アクセス数は約1万、人数としては700人ぐらいでしたが、4カ月後の現在はアクセス数2万、人数約1000人というように増加してきています。
ただなんとなく私たちのホームページを見た人も、興味をもって見に来た人もいますが、この事は言い換えると4カ月間の間に4000人の方々が私たちの会社案内を読んでくださった、あるいは会社に訪問してくださったという事と同じと思います。
インターネット以外の手段ではこのような事はできそうにもありません。
もうひとつの効果はいままで知らなかった方や知っているがお話をするチャンスがなかった人からの電子メールによる連絡がある事です。
現在私が送信できる相手先メールのアドレスは112名になりましたが、そのうちの57名(まったく会ったこともない人は25名)がホームページ開設がきっかけでメールのやりとりができるようになりました。
電子メールは使った人でないとその合理性やネットワークの有用性はわかりにくいでしょうが、私なりに言えることは少なくとも4カ月で50人の新たな相談相手ができたという事です。
5.木材業界等でどのように影響があるのかこの半年間をインターネットの勉強とホームページを運用してきた中で思う事はインターネットのホームページがこれからの木材業界にも相当影響を与える事になると確信しています。
多くの人はたかがホームページで趣味の世界と思っている節があります。
インターネット人口は急速な勢いで増加し、技術革新も他の産業や過去の時代と比較しようもないくらい早いスピードで変化しています。
また、私が一番に気に入っているインターネットの長所は、政府主導や官民合同のプロジェクトではなく、一般大衆から始まり、また支持されているネットワークということです。
話は少しずれますが例を挙げると国の民族舞踊や芸術を考えるとわかりやすいと思います。
日本では宮廷雅楽と阿波踊り、インドネシアではジャワの宮廷舞踏とバリのガメラン演奏によるダンスなどは前者は官によって保護され、後者は民衆の中で育ってきました。
どちらが力強いか、また今後存続するか明らかです。
いままでいろいろ話題になったマルチメディアも官主導のものは結局のところ成功していません。
インターネットは一般の人によって運営され、支持されているかぎり、より発展すると思います。
今後の発展にはいろいろな要素がキーになると思います。
①通信回線が太くなる、②通信関係の設定が簡単になる、③また電子マネーが確実になる等の事が改善されれば、国民全員が利用するようになると思います。
しかし、これらの3っだけがキーワードというわけでもありません。
これらの現在の欠点を改善、改良するという方法だけではなく、まったくあらたな媒体手段が考えだされ、それによって加速度的に広がるというような事も考えられます。
たとえば回線を太くするというのではなく有線放送や、CATVの線、衛星通信など現在は無理と思われているものの中から実用化されるものが出てくる可能性があります。
パソコン本体にしてもなにもパソコンでなければならない事はなく、デレビ等で受信できるように、しかも簡単操作ができるようになると、もうなにからなにまでインターネットにたよるようになってくるのではと考えもします。
新聞などはどのように考えても従来の印刷よりもインターネットのほうがすぐれています。
5年後には新聞は地方紙、業界紙、ミニコミ紙等を除きなくなりつつある状況になると社内で話しています。
木材業界はいつの時代でも流行や時代感覚等では世間一般より遅れてきました。
インターネット関係でも同じ事が言えるでしょう。
3-4年は他の産業から普及が遅れると思いますが、いずれにせよ大きな影響があると思います。
予想される事を2点を記載します。
①流通の短略化いままで何度も流通短略化の話が起こっては消えていきました。
短略化は最終消費者も製造者もともにパイプを短くしたいと思っているのにいままでなかなかできませんでした。
物流については宅急便などによる個別配送が実現したおかげで可能になったのですが、商流については情報が直接消費者と製造者を結び付けるシステムがつくれなかったのです。
これは中間流通業者が故意に情報の中断をしていたためです。
自分たちの業界だけは情報がストーレートに流れるようになるのを1年でも2年でも遅らせようと考えていたからです。
一般的には情報の社会的なインフラが整備されていなかったということです。
またいくつかのプロジェクトの実験がありましたが、実用化にはいたってないと思います。
というのは、たとえば5個所と100個所とを結ぶ通信パイプを引けるようにしてお互い通信でやりとりできるシステムを構築したとしても、たかだか500個所だけのネットワークで終わってしまいます。
これはまずデーターの蓄積量が少ない、ほしいデーターを検索しようとしてもこのグループの中になくて、他のグループにある。
そして他のグループとは接続できないといった問題がこれらの2つの問題はインターネットですべて解決されるでしょう。
流通中間業者が情報の中断をしていても、その脇を通って生産者とユーザーは情報のやり取りができます。
またネットワークの数においては誰もがインターネットが世界最大のネットワークと認めるでしょう。
この流通の簡略化においの結論はいくら情報の中断をしてもムダで、インターネットや社内外の情報システム等によって情報にも付加価値をつけない流通中間会社は確実に流通からはずされてしまうということです。
インターネットのおかげていままで掛け声だけて終わっていた流通の短略化が本当に起こるということです。
②情報収集何か欲しい情報を探したい場合、いままではネットワークで探そうとしても既存の商用データーベースは料金が高い、あるいは情報提供会社の数が少なすぎる、また各会社が持っているデーター量が少ないので本当に自分が欲しい情報を探し出すことができない等の問題がありました。
また検索システムにも問題があったと思います。
大型コンピューターを利用した検索システムは設計、設置、運営が大変なわりに使い手にとっては非常につかいにくいシステムだったのです。
しかし、急速な技術革新のおかげで従来の大型コンピューターの性能がパソコンで十分まかなえるようになってきました。
またソフトが急速に安くなりものによってはほとんど無料というものまで出てきたおかげで一般の人でもデーターベースを利用できるようになってきました。
私たちの会社でもいままでいくつかの新規事業を始めましたが、いつも決まって困ることは欲しい資材、情報を探すのに困ったものです。
そして販売でも困ってしまうのです。
予算をありあまっていて広告宣伝ができればいいのですが、せっかくいい商品ができても低コストで購入者に訴える手段がないのです。
この点に関しては現在のインターネットでほぼ解決できていると思います。
たとえば新商品の梱包のため、ダンボールメーカーを探したいとした場合、インターネットの検索エンジンでダンボールと入力すれば1-2秒のうちにダンボールに関する会社のホームページが出てきます。
また会社で新しいフェンスを開発したとしましょう、取り急ぎホームページ等にこのフェンスの商品説明、写真などとともにキーワードを登録しておけば、日本中(世界中)のなかでフェンスに興味がある人がインターネットで検索した場合、自分たちのホームページを見てくれるということになります。
6.結論これからの社会で会社が生き残るには差別化された商品や特別な商品を独占的に扱っていない限り、今まで述べてきたインターネットやイントラネット、知識データーベース等の情報化が会社存続を左右するようになると思います。
会社の情報システムがよくできている会社は低コストで競争力がつき情報報化が遅れている会社やしない会社はすこしづつ社会システムから遠ざかっていき会社競争から脱落するのではと考えています。
ホームページは流行ですぐにだめになると考え静観した方がいいのか、ホームページが情報システム構築の入門になると考え取り組んだ方がいいのか、答えはわりと早い時期に出ると思います。

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