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被災の木、語り部に

・朝日新聞  2004/11/14
神戸市長田区の御蔵南公園に、2本のクスノキが立つ。 阪神大震災の猛火で、2本とも幹の半分以上が焼けた。10年という時の流れの中、傷口を治しながら枝を伸ばし、黄緑色の葉を輝かせ、2本とも、高さ10メートル弱。枝がつくる幅は約4.5メートル。太い木の方は幹周約180センチ。細い方は約120センチである。今も焦げ後が細長く残る。地元の人や樹木医に見守られ、双方ともカルス(癒合組織)という新たな樹皮が傷口を覆うように横に伸びてきている。その長さは、10年間で太い方が約20センチ、細い方は30センチになる。 「御蔵通5・6丁目町づくり協議会」会長によると、クスノキは、迫る炎の盾になり、背後にあった物置は延焼を免れたという。 「火がきても木は逃げられへん。痛かったし熱かったんやで。木のささやきが聞こえますか」 「木がものを言いますか」 「木の気持ちにならんと・・・・・。想像力や」 会長さんは、クスノキを見上げながら、訪ねてきた子どもたちと、こんなやりとりをする。同協議会や地元のまちづくり支援団体が受け入れてきた児童生徒は近年、年間約1000人。 学校を通じてお礼の手紙がよく届く。クスノキのことを書く子も多い。 「元気に緑の葉をつけて立っているのを見ると自然はすごいなぁと思いました」 「木がはげているのもすごかったです」「とってもがんばり屋だな」 当時のまま残してあった電柱や木がとても生々しく、とても迫力がありました」 「初めは、枯れると思ってました。拍手を送りたい」。クスノキを診る樹木医の一人は言う。 皮のはがれた所に樹脂を塗って腐らぬようにしたり、柱を添えて補助したり。「治療だけではありません。木が自分で治すのを手助けしているのです」 被災地に生えていた多くの木々が、復興の過程で人々に希望を与えたと信じる。「廃墟の中、毅然として立っていた街路樹や公園の木の生命力を、みんな無意識のうちに感じていたはずです」クスノキは順調なら、細い方は12~13年、太い方は約40年で完治するそうだ。

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