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陸前高田の松原再生

・読売新聞 2011/5/22

国の名勝に指定されている岩手県陸前高田市の「高田松原」で、東日本大震災で津波の直撃を受けた松林を復元するための取り組みが始まった。唯一生き残った一本松を「接ぎ木」や「組織培養」することによって、遺伝子を受け継ぐ苗木を人工的の増やす試みである。「科学の力で、震災前の豊かな松林を取り戻してほしい」と<奇跡の 一本松>を心の支えにしている地元住民も、期待を込めて見守っている。高田松原は、7万本(「高田松原を守る会」調べ)のアカマツやクロマツが約2キロの砂浜に植えられていたが、震災の津波でほぼ全てが倒れた。残った松の推定樹齢は270~280年であり、砂浜が地震で削られ海からの距離が約10メートルに迫り、「守る会」は「波や地中の塩分で、あの一本も枯れてしまうのでは」と危機感を募らせていた。そこで、独立行政法人「森林総合研究所」(茨城県つくば市)の林木育種センターが接ぎ木による増殖を提案した。4月下旬、「守る会」の了解を得て、岩手県滝沢村にある同センター東北育種場に「一本松」の芽を含む長さ5㌢ほどの枝を持ち帰って接ぎ木を開始した。成功すれば、早くて3年ほどで植樹できるといい、同育種場の春原武志場長は「芽吹き前の3月頃が接ぎ木に適している時期で、やや遅れてしまったうえに一本松は高齢と条件が厳しいが、何とか復興を手助けしたい」と話す。一方では、バイオ技術を活用し、松林の再生を模索している住友林業(東京)は、同じく4月下旬に芽を含む枝先を採取し、つくば市の同社研究所で細胞組織の培養を始めた。最終目的は苗木の育成である。東京都内で最高樹齢の桜である「祐天桜」の苗木の増殖に成功している同社は「これまでに培った技術を生かして、松原の再生に貢献したい」としている。「あの大津波の中を生き延びた松の遺伝子を後世に残していただけるなら素晴らしいこと。成功を信じている」と「守る会」副会長の小山芳弘さんは話している。

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