v3.04

平井信二先生の樹木、木材研究

キワタ属の樹木(その2)
6.Bombax insigne WALLICH
Bombax insigne WALLICH(異名Bombax tenebrosum DUNN、Salmalia insignis SCHOTT et ENDLICHER、Gossampinus insignis BAKHUIZEN)は、インド西ガーツ山地、バングラデシュ、ビルマ、アンダマン諸島、支那雲南省、インドシナに分布し、インドでsimul、semul、thula、saitu、ビルマでdidu、中国で長果木綿という。
 高さ20m、ときに30m以上、直径1.3mまでになる高木で 、樹幹に刺はなく、若い枝は有刺または無刺である。葉は掌状複葉で、小葉は5~9個あり、倒卵形または倒皮針形で長さ10~15cm、幅4~5cm、短鋭尖頭、基部は楔形を示す。ほぼ革質で、下面は帯白、中肋と側脉に沿って長軟毛がある。小葉柄の長さは1. 2~1.6cmあり、総葉柄は小葉より長い。
 花は枝端近くに単生し、花梗の長さは約1.9cmで太い。花径は25cmほどあり、がくは壷状球形で長さ2.8~5cm、厚い革質である。頂端は僅かに2裂する。花弁は紅色、橙色、ときに黄色、白色の肉質で、長楕円形、 線状長楕円形、長さ10~15cm、反巻して垂れ下がる。鈍頭、内側は舟状に凹み、外面に短い絹毛を布き、内面は無毛である。雄ずいは150個ほどときわめて多く、下部の合着下筒部の長さは約1.2cm、離生した花糸は糸状で5束に集成し、花弁より短い。子 房は5室、花柱は花糸より長い。柱頭はきわめて僅かしか5裂しない。さく果は長い円筒形で長さ25~30cm、褐色を呈し、5稜があり無毛である。熟して5片に裂開し、果皮の内面に綿毛をつけ種子を埋めている。
 散孔材。辺・心材の区別はなく、白色~黄 褐色である。組織はキワタBombax malabaricum DE CANDOLLEと同様であるが、道管の径は小さく分布数が少ない。
 材の気乾比重に0.34~0.50の記載があり、0.35のもので、縦圧縮強さ304kg/c㎡、曲げ強さ534kg/c㎡、曲げヤング係数6.8×10(4)kg/c㎡、ヤンカ硬さは横断面186kg、縦断面181kgを示す。
 材の加工、乾燥は容易であるが、耐朽性は低い。ただしキワタよりは良いとされている。
 箱、包装材料、マッチ箱、壁板、簡単な家具、玩具、棺、カヌー、オールのブレード、太鼓の胴などに用いられ、また合板に作られ、パルプには良いという。果 実の綿毛は枕、クッションなどの詰め物に用いられる。
7.Bombax anceps PIERRE
 Bombax anceps PIERRE(異名Bombax insularis RIDLEY)はビルマ、タイ、インドシナ、マレー産で、ビルマでdidu、didu letpan、kokyeという。
 高さ13mまでの高木で、樹幹に大きい刺が列をなして密布する。葉は楕円形~狭倒卵形の小葉からなる掌状複葉で、小葉の長さは6.3~12.5cm、幅2.3~4.5cmである。短い鋭尖頭、基部は狭楔形を示す。小葉柄の長さは1.3cm、総葉 柄の長さは12.5cmほどである。
 花は白色で、長さ約7.5cm、がくは杯形で長さ約3.8cm、乾くと暗褐色~黒褐色を呈し無毛である。花弁は長楕円形で長さ約5cm、鋭頭、外面に綿毛を密布し、内面は基部を除き外面より疎生、基部には長い絹毛を密生する 。雄ずいは350個ほどできわめて多く、長さは約7.5cm、下部の合着した筒部の長さは1.5~2.5cmである。子房に微細な毛があり、花柱は無毛である。さく果は楕円形などで長さ10cmほど、5条の著しい隆条がある。
 材は雑用材、カヌーなどに用いられる 。花弁を乾かしてカレー、スープなどに入れ食用とする。  
8.Bombax cambodiense PIERRE
 Bombax cambodiense PIERREはビルマ産で、同地でkokyeという。高さ20~27mになる高木で、樹皮は灰色を呈し、強壮な円錐形の刺をもつ。樹木としての形態はBombax anceps PIERREに似ているが、花柱は有毛である。材は灰白色で、その組織はキワタBombax malabaricum DE CANDOLLEと同様であるが、道管の径は僅かに大きく、放射組織の幅が広いので放射断面で虎斑(silver grain)が見られる。箱・包装材料、建築造作材、家具、玩具、カヌー、パルプなどに用いられる。  
9.Bombax valetonii HOCHREUTINER
Bombax valetonii HOCHREUTINER(異名Bombax larutensis RIDLEY、Salmalia valetonii CORNER、Gossampinus valetonii BAKHUIZEN)はタイ、マレー、ジャワ、ストラマに生じ、英名をwild kapok、マレーでkapok utan、kabu kabu utanという。
 高さ47m、直径1.7mまでになる落葉大高木で、枝は大きくて開帳し樹冠は平たくなる。板根は小さいものが出るかまたは現れず、基部付近で広い溝が出る。樹皮は淡灰褐色を呈し、木質の刺があり、しばし列をなして生ずる。小枝は太く刺をもつ 。葉は掌状複葉で、小葉は5~9個あり、皮針形で長さ10~20cm、幅3.8~9cm、若令木では長さ38cmに達する。短鋭尖頭、基部は楔形で、側脉は約12対あり、小葉柄はきわめて短い。
 花は長さ7.5~10cm、がくの長さは3cm足らず、緑色、革質で厚く、2~3 個の短い裂片がある。花弁は線状長楕円形で長さ約7.5cm、淡黄緑色などを呈し、両面に白綿毛を密布する。雄ずいは白色、花柱は淡紅色を呈する。さく果は線状長楕円形などで長さ12~23cm、木質で角稜がある。
 散孔材。辺・心材の区別が見られ、辺 材は幅1.3~2.5cmで白色、心材は淡黄褐色を呈する。生長輪が認められる。材の気乾比重に0.42~0.55の記載がある。箱・包装材料、マッチ箱、雑用材などに用いられる。果実の綿毛はカポック同様に枕、クッションなどの詰め物とする。  
10.メキシコキワタ
 メキシコキワタBombax ellipticum HUMBOLDT、BOMPLAND et KUNTH(異名Pseudobombax ellipticum DUGAND)はメキシコ、中米の石灰岩地に生ずる落葉高木で、いわゆる壷植物の一つである。樹幹は肥大し、ときに地際部ではほとんど球形となり、それから数本の枝を叢生する。主幹部には刺がないが、技はアオギリの肌に似て多数の刺をつける。生長は きわめて遅い。業はおおむね5小業からなる掌状複葉で、小葉は楕円形、卵形、倒卵状楕円形を呈し、長さ10~25cm、円頭、質は薄く、下面は初め有毛である。総葉柄の長さは30cmまでに達する。
 花は開葉前につき、腋生で大きい。がくは広鐘形で、花弁は5個あり、外側は紫色を帯び、内側は白色で、反巻する。雄ずい数多く花冠から長く挺出し、白色または淡紅色を呈する。さく果は長楕円形で長さ8~10cm、革質で、壁の内面に白色の綿毛を密 生支、多数の小さい黒褐色の種子を包んでいる。
 熱帯では観賞用に庭園などに植栽され、また温室植物の一つである。  
11.Bombax emarginatum DECAISNE
 Bombax emarginatum DECAISNEは中米産の高木である。種子毛は枕、クッションなどの詰め物に用いられる。  
12.Bombax globosum AUBLET
 Bombax globosum AUBLETは西インド諸島、南米北部産の高木で、仏名をmahot coton、fromager、スリナムでtolu、cecho espinosa、ベネズエラでceibaという。出材される丸太の長さは10~20m、軽は30cmとの記載がある。材は初め緑白色で、空気にさらされて紅色を帯びてくる。材の気乾比重に0.15~0.40、0.60の記載があるが、一般に軽軟である。丸太でおくと変色が生じ やすい。加工は容易で、材の耐朽性は乏しい。軽構造物、造作材、家具、器具などに用いられる。  
13.Bombax mungaba MARTIUS
 Bombax mungaba MARTIUSは南米産の高木である。種子毛は枕、クッションなどの詰め物に用いられる。  
14.Bombax pubescens MARTIUS
 Bombax pubescens MARTIUSは南米産の高木である。種子毛は枕、クッションなどの詰め物に用いられる。
平井先生の樹木木材紹介TOPに戻る