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林業家速水氏の談話

・毎日新聞 2008/8/28
人工林で何が起きているか。間伐できずヒノキやスギと土以外は何もない荒廃した林ができてしまった。もう一つは森林所有者が、採算が合わないからと、森林を土地ごと売って、買った素材生産業者は木を伐採し、跡に何も植えずに放置することも見受けられる。間伐の問題だと、木材の輸入を(64年に完全)自由化する段階で、木を搬出する林道を作るなど基盤整備をしてこなかった。いくら木を育てても、工場まで搬出する道がなければ意味がない。間伐もできない。例えばドイツは1ヘクタールあたり延長100メートルぐらいの林道や車が走れる作業道があるが、日本は10メートル少々しかない。間伐をやるためにも、トラックや機械が入る道をまず、作ることだ。基盤整備では、政府は森林現況をデータとしてしっかり把握することだ。それを基に管理計画や間伐ができ、小規模の森林所有者の作業をまとめることもでき、林道も付けやすくなる。これまでは森林を育てる時代だった。拡大造林で針葉樹を植えた。一部は行き過ぎもあったが、植栽、下草を刈り間伐する。結果として立派な森林資源はできた。しかし、その作業一つ一つに細かく補助金が付き、作業の合理化を誘導する仕組みがないまま変わらずに続いてきた。戦後60年が過ぎ、木材資源も蓄積され、そろそろ資源を経営的に使う時代、切る時代になった。育林補助金も必要だが、森林経営の観点から経営努力が報われる補助制度にかじを切らなければならない。二酸化炭素(CO2)の削減で、間伐予算が増減されたのは一つのチャンスだ。しかし、CO2削減策として森林が認められるのは、持続的な森林管理が前提となる。第1約束期間の評価はこれから決まるが、やはり持続的森林管理とは経営的管理。間伐補助だけでなく、そうした視点で森林のCO2吸収を広くとらえるように変えないといけない。持続性ある森林管理を展開するには、林業を産業として継続できないといけない。それには、例えば林地を流動化させることも必要だ。山村に工場は来ないし山村にあるのはヤマだけ。だったらヤマに企業誘致する。企業が森林や林地に投資し、環境に配慮した適切な管理を前提に森林経営に参加する。そこに雇用が生まれ山村に活気が戻る。大企業が森林に投資しやすい条件を作ることだ。各地の森林の購入行動の歴史を見るとやはり当時利益を出していた産業界の経営者や会社が買っている。投資が長期になるために他の利益を投資して始めることが多いのである。だからこそ、利益を出している会社が投資しやすいよう森林の適切な管理計画と実行で管理費用を経費にできるような税制などを整えることで、企業が山村に投資できるのである。林業は今後も厳しい時代が続くと思う。しかし、日本は世界有数の木材需要を抱え、木材資源も蓄積されてきた。需要があり供給するものができてきた。環境意識を持ち、工夫と努力する人なら林業で生きていけるだろう。日本の林業は、工夫次第で生きられる余地は十分ある。

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