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間伐進めてCO2減

・朝日新聞 2008/4/2
「温室効果ガス6%削減」は、京都議定書で日本が約束した数値である。政府はこの半分を上回る3.8%分を、森林の二酸化炭素(CO2)吸収で見込んでいる。つまり間伐を進め、天然林を保有林として整備できればできれば目標は達成できるということだが、林業の衰退で計画通りの間伐が難しいとされている。また、根本的に間伐や天然林の整備で期待通りCO2吸収量が増えるのかなど不確実なところも多いといわれている。徳島県と接する高知の香美市の山あいでは毎日、樹齢40~50年ほどの杉の間伐が行われている。間伐を終えた森の古い切り株のまわりには、ツバキなどの低木が育ってくる。「間伐で日光が地面まで入れば、光合成でスギもCO2を盛んに吸い成長する」。人工林は間伐などの適正な「森林経営」や植林が必要である。天然林なら、伐採や焼失を防ぐ管理策を取ることが必要となる。日本はエネルギー消費の大幅削減が見込めない分、国際交渉で森林吸収量4770万トン分を勝ち取った。これが3.8%分である。しかし、安い輸入材に押されて1990年以降の木材自給率は約20%である。「切っても売れず、売っても損」の状況のため間伐は進まず、2005年度の時点では2.8%の削減にとどまっている。林野庁では、2007年度から12年度の間伐面積を増やし、全国の人工林全体の30%近い約330万ヘクタールで行い、補助金なども増額することにしている。それでも間伐費用の約3分の1は山の所有者の負担となるため、間伐はしないという人も多く、補助金が宙に浮いた状況になる地方もある。また、間伐を行っても、どうせ売れないなら運び出すのはムダだとして、森に放置してしまう「切り捨て間伐」も増えると考えられている。森林吸収に詳しい日本大学の小林教授は「山はCO2のためだけにあるのではない。切った木を使う持続可能な森林経営こそが求められている」と話す。茨城県つくば市の森林総合研究所では、全国2ヶ所のスギ、ヒノキ、カラマツについて植林させてからCO2をどれだけ吸ったかを測定している。結果、18ヶ所では、間伐された木も含めた吸収量が間伐をしない場合よりもおおむね10~20%増えたが、減るケースも3地点あった。立ち木では、無間伐の方が本数が多い分、吸収量も上回るが、間伐材に蓄積したCO2は固定されて外に出ないで吸収分として上乗せでき、間伐した方が優位である。だ。しかし利用の仕方を誤まり間伐材を焼却してCO2を放出すれば、無間伐の方が優位となる。京都議定書では、人が手を加えて増えた吸収分と自然増の区別がはっきりしないとして、人為的に整備、管理した森林の全吸収量の15%分として算入するのが原則。ところが日本は国際交渉の末、100%算入できることが特例的に認められ、12倍以上の森林面積のあるカナダとほぼ同じCO2の吸収量を計上できるようになった。国立環境研究所ぼ山形与志樹主席研究員は、ルールの不備を認識しつつ「長期的にCO2の吸収を持続させる意味で、間伐は一時的な吸収量の増加以上の効果がある。木造住宅やバイオマスエネルギーなどに間伐材がより多く使われれば、その分だけ石油製品を減らせる」と話す。

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