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伐採後の植林には動物戻らず

・読売新聞  2006/7/29
インドネシアのスマトラ島中部のリアウ州。州都ペカンバルの南東150キロに大手製紙会社エープリル社の伐採地がある。伐採地を抜けると整然とアカシアの植林地が広がっていた。高木が樹冠を寄せ合う天然林の中、作業員は簡単に直径70センチの大木を切り倒している。天然林を切り倒し、皆伐してアカシアを植えるよう指示されているのだ。天然林は合法的に伐採され、州内の製紙工場で紙やパルプになる。製品のほとんどが輸出用で昨年、日本には計10万2千トンが輸出された。アカシアは7年で樹高が25メートルになるので紙の原料に最適でだが、州全域に拡大したアカシアの植林地には生き物の気配はない。世界自然保護基金(WEF)のスタッフは「見た目は同じ緑でも、単一職種の植林地は多様な生き物が暮らす森とはまるで違う。サルや鳥は二度と戻らない」と話す。エープリル社のデバネサン最高執行責任者(COO)は「違法に伐採された木は一切使っていない。特に保護すべき森は切らずに残してある」と語るが、野生ゾウとの衝突が絶えない。国立公園を取り囲むように植林地と村人が森林を伐採して植えたアブラヤシ畑が広がる。ゾウはアカシアが苦手で、天然林の木の葉や果物に依存する。生息地を狭められたため、えさ不足となり人里に下りてくる。村人は作物被害を恐れ、罠を仕掛けたり、ゾウを殺したりする。また、ゾウに襲われ死傷する村人もいる。日本の環境省は5月、アジア産バイオ燃料(アブラヤシから取れるパーム油が原料)の生産拡大を後押しする方針を表明したが、産地の森林破壊には言及しなかった。先進国の需要に応じ世界規模で進む森林の減少と劣化。この問題は世界第3位の木材消費国の日本に住むわれわれにとって大きな課題である。

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