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樹上の空師

・朝日新聞 2012/4/10

世界遺産である和歌山県那智勝浦町の那智の滝を取り囲む森に、根がむき出しになった高さ30メートルを超える杉が数十本ある。昨秋の台風12号の影響で、倒れて二次災害が起こらないよう、巨木のてっぺんから幹を切り落とす作業が行われており、この熟練を要する樹上の職人を「空師」という。幹周り約5メートルもある杉の周りの土は、豪雨でえぐられて崖のようであり、壁面から根が飛び出している。この杉を切り落とすのは、熊野那智大社の依頼を受けた業者の下請けである和歌山県有田市の狗巻義博さん、弟の進さん、弟子の横山誠一さんである。地下足袋をはき、枝に引っかからないよう吸汗性のぴったりしたTシャツを着る。重さ10キロのチェーンソーを手 に、幹に回したロープと腰の安全帯とを結び、重心を後ろ気かけて木を登っていく。30分ほどで、枝を斬り落としながら頂点に着き、そこから安全な落下地点を計算して 少しずつ切り込む面を変え、刃を入れる深さを調節する。本来の空師の仕事場は寺や神社で、狭い敷地での神木の手入れをしているが、全国で数えるほどしかいない。昨 秋の台風で那智の滝近くでは川岸の杉を鉄砲水がなぎ倒し、残った杉も大雨で倒れる危険があり、熊野那智大社の別宮にぶつかる可能性がある。全国でも最古参である狗 巻さんでも最初は杉の状態が悪く断ろうとしていたそうだが、他に出来る人がいないということで引き受けたのである。地元の熊野那智大社から初めて仕事を受け、「役 に立てるのは幸せなこと。もう少し続けて復興に貢献しろ、ということかもしれないね」と狗巻さんは語る。

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