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江戸時代前期漆輸入

・読売新聞 2011/7/20

英語で「漆器」は「Japan」と呼ばれる。世界に知られる日本の漆器は国産の漆が用いられていたものと考えられていたが、近年、京都市内での発掘調査などによって、戦国末期から江戸前期にかけて東南アジア産の漆が大量に輸入され、漆器が海外に輸出されていた事が分かった。これは原料を輸入して製品を輸出するという、現代に通じる産業構造が既に成立していた事を示している。アジアには3種類の漆がある。日本と中国、朝鮮半島に分布するウルシノキ、台湾と北ベトナムにあるハゼノキ、そしてタイ、カンボジア、ミャンマーに分布するビルマウルシだ。2003,4年に京都市内で 発掘された漆器の漆には、分析の結果ビルマウルシが用いられていた事が判明した。宮腰哲雄・明治大教授は「漆の原液を入れた壺がタイから朱印船などを通じて京都の漆器工房に持ち込まれたのではないか」と推測している。江戸中期の18世紀以降になるとロウソクの材料にもなる漆を各藩が保護し国内でほとんど賄えるようになったため、近世以前の漆は国産とのイメージが強かった。しかし、戦国末期から漆が大量に輸入されていた事は、貿易立国の萌芽が既にこの時期にあった事を示唆している。一方、イギリスやドイツに現存する漆器には、デザインは明らかに日本製にもかかわらず、ビルマウルシが使われているものがあり、国産の漆は国内で消費され、外国産の漆は輸出用に使用された傾向がうかがえる。冒頭にも述べたとおり、「Japan」と称される漆器は、当時の日本の国際性を浮かび上がらせる重要な鍵を握っている。

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