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ブドウ畑

・日本経済新聞 2011/6/18

長野県塩尻市の桔梗ケ原地区は雨が少なく寒暖の差が大きい全国有数のワイン産地である。今までは国産ワインといえば山梨県だったが、地球温暖化のためか涼しい地域にブドウの生産適地が移りつつある。国内外のコンクールで塩尻産のワインが上位入賞するなど、品質向上が著しい。ブドウ棚がJR塩尻駅の3、4番ホームにあり、JR東日本長野支社によると「秋には地元の幼稚園児や利用客などに配っている」とのこと。西側にはブドウ畑が左右に広がる。6月上旬、ブドウの花が咲く直前で、房の形が小さいがはっきりしている。農家は刈りこみ作業の真っ最中である。これは、ブドウは放っておくと枝や房をつけすぎてしまい木がやせ細って枯れてしまうのを防ぐためである。2010年の国産ワインコンクールでカベルネ・ソーヴィニヨンを使用した赤ワインが「金・最優秀カテゴリー賞」を受賞した井筒ワインは、市内のワイナリーの中では積極的に見学者を受け入れている。ブドウ園などワイナリーを公開しており、地下貯蔵庫や予約をすれば醸造場(工場)を見学できる。秋にしかブドウの搾る作業が行われないため、塚原嘉章社長は笑いながら「あの機械は場所をとるのに1年に1カ月位しか使わないんです」と案内してくれた。現在ブドウジュースの瓶詰め作業を工場では行われており、ワインの試飲は予約なしに施設内のショップで楽しめる。オークダルが並ぶ風景が見学できる信濃ワインでは、予約をしておけば試飲室でワインの説明を受けつつ、グラスを傾けることができる。とくに「ナイアガラ」と「コンコード」という2つのブドウから造るワインを試していただきたい。白ブドウのナイアガラは生食用で、黒ブドウのコンコードはジュース用の品種である。「30年ほど前には香りが強すぎて、まともなワインとして相手にされなかった」と塩原悟文社長は話す。しかし、次第にファンは増え、ワイン通からも支持を得てきている。ナイアガラの白ワインはとてもフルーティーで、コンコードで造る赤ワインは渋みが少なく飲みやすい。塩原社長は「カレーライスやすき焼きなど味の強い物に合わせるといい」と話す。また、コンコードを飲むという地元の会社員は「甘めのワインが多いので、ブルーチーズと合う」という。ちなみに塩尻では山梨の代表的な甲州ブドウはほとんど栽培されていない。井筒ワインの向かいにある林農園では、林幹雄社長が1952年頃からメルローなど欧州系のワイン用の高級品種のブドウ栽培に取り組み始めた。フランスのボルドー地区で栽培されているメルローは、病気や寒さに弱い。林社長は「冬は寒すぎて木自体が凍って枯れてしまう。大変な苦労をした」と話すが、近年の気温上昇もあり、国内有数のメルロー産地となった。林農園はワイナリーを公開していないが、ブドウ畑の見学は自由にできる。畑にはシャルドネ、ピノ・ノアール、カベルネ・ソーヴィニヨンなどメルロー以外に15品種があり、ショップでの試飲もできる。長野県塩尻志学館高等学校の生徒たちは国産ワインコンクールで銅賞を獲得するようなワインの製造免許を持っているが、あくまで教育の一環であるため販売免許を取得 していない。このあため、一般の酒販店では買えず、地元の人でもめったに飲めない。同校で開く文化祭や市内各地で開く「ワイナリーフェスタ」では試飲できると塩尻市はいう。日増しに緑が濃くなるこの季節、収穫はまだ先だが、ブドウ畑を眺めながら、お気に入りを探して試飲して回るだけでも楽しめる。

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