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人工の森

・産経新聞 2011/12/27

四季ごとに通っていた六甲山系が冬の装いをみせている。2011年は紅葉の色に物足りなさを感じたが、摩耶山近くの穂高湖付近の紅葉には心が安らいだ。四季折々の森の表情を山歩きで楽しむことができる。明治時代の初め、六甲山ははげ山であった。作家で造園家の野元正さんによると、大阪城造営のため、豊臣秀吉が大木や石材を切り 出し、草木の採取も自由にさせたことが原因だという。江戸時代に荒廃していた六甲山は、阪神大震災にも耐え、およそ110年前から植林によってできた「人工の森」である。豊かな植生が見られる六甲山の山沿いには、草木の案内板がある。官民問わず、植林に尽力した人たちによってできた森の生態系を壊してはいけない。イノシシが六甲山麓の市街地で人を襲う被害が2011年は急増した。全国初の餌付け行為禁止条例を神戸市は施行したが、罰則がないため効果はあまり期待できない。「イノシシは食べ物が不足して山を下りざるを得なくなったのだから、餌をやらないのはかわいそう」という”善意”の餌付け行為が原因であるという。しかし、山中の木の実などの食べ物が不足していると考えられず、それらに見向きもせずに人間が与える餌になじんでしまったら、森のバランスが崩れる。野元さんによると、あと100年は人工の若い森が安定するために人の手によるケアが必要であるという。はげ山であった六甲山に戻ってしまわないためにも、責任をもって人が人工の森を育てる必要がある。

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