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寺社再建は輸入巨木

・読売新聞 2011/12/5

径67センチ、高さ8.4メートルのケヤキで統一されている。「柱の原木は、直径が2倍以上の巨木だった可能性があります」と僧侶が堂内で団体参拝客に説明した。この巨木を4分割し、芯を含まない4本の柱を作ったという説の根拠は、芯を含む柱は割れや変形が生じやすいのに、「背割」で防いだ形跡がないからだ。だが実際は、断面を見 ない限りわからない。元滋賀県教委文化財担当の村田信夫さんと1955年の根本中堂修理時の町報告書を調べ、腐食部を除去して補修する「根継ぎ」が1本を除き全ての柱に施されていたという記述から、村田さんは「補修に使える太さのケヤキは、国内ではもう手に入らないんです」と話す。村田さんによると、ケヤキの耐用年数は800年で、根本中堂の柱に使えるケヤキが400年後に確保できるか微妙だという。ヒノキが手に入らず根本中堂の柱にケヤキが使われたらしい。東大寺などの建築のため、奈良時代に、近畿一円からヒノキが集められ、その乱伐がたたり、東大寺大仏殿が鎌倉時代に再建される頃にはすでに近畿に適当なヒノキがなく、周防の国(山口県)などの遠方から調達せざるを得なかったという。現在再建が進む興福寺中金堂(奈良市)では、アフリカ・カメルーン産のアフリカケヤキが使用されている。宮大工棟梁の瀧川昭雄さんは「寺社と同じ気候、風土で育った木で建てるのが本来の筋。宮大工は木の癖を見抜き、技を高め、道具も進化させてきたが、国内にそんな木はもうない」と悔しそうに語る。薬師寺では、1976年に台湾ヒノキを使用し約450年ぶりに金堂を再建した。しかし、台湾やアフリカでの調達の先行きが不透明である。延暦寺は結局、地道に育てるしかないと約10年前から比叡山内でケヤキを育てている。同じ時期に清水寺でも京都府内にケヤキを約3000本植樹した。2002年に林野庁が国有林で巨木を育てる「古事の森」事業ているが、気の遠くなるような厳しい現実の前に立ちつくすほかない。

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