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美林

・産経新聞 2011/11/30

美林を子孫のために残す。森林が地球規模で消えていく中で、地球環境に果たす役割や公益的な機能に注目が集まっている。なぜ、「美しい森林」が必要なのか。ある森林家は「日本の森は深刻な状況にある。手入れを怠れば必ず荒廃する」と警鐘を鳴らす。タイで10月に発生した洪水は、過激な森林伐採による影響が無視できないといわ れている。森林の減少は市民生活と無縁ではないのである。震災前から、宮城県気仙沼市でカキの養殖業を営む畠山重篤さんは「森は海の恋人」をキャッチフレーズに植樹作業を進めてきた。降った雨は土壌に染みこみ、「水の貯蔵庫」としての価値に加え、川や海への養分供給の役割も担っているからである。森にすむ動植物ばかりではなく、海の生物にまで、森林の荒廃は影響を及ぼしている。『日本の森林を考える』を出版している東京の奥多摩の檜原村で林業を営む田中惣次さんは、「持続可能な美しい森林を守るには、人工林、天然林を問わず、間伐や枝打ちを継続的に行い、森の光環境を整えることが必要だ。昭和39年の木材の自由化により、安い輸入木材に押されて林業で生活する人が激減したことで、森林が荒廃した。森林という財産は輸入できない。林業を職業としてやっていく環境を育てていくことが急務です」と話す。内閣府の「森林と生活に関する世論調査」によると、国民の森林に対する期待は、「地球温暖化防止に対する貢献」「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」が多く、「心身の癒しやや安らぎ」といった森林のヒーリング機能に集まっている。森林塾「遊学の森」を開いてきた田中さんは「木材資源としての森の価値は下がっても、森が地球温暖化防止に貢献したり、都会人に安らぎを与えたりといった外部経済効果は増加している。公益的な価値に気付いてもらうためにも、森の中で過ごす時間を大切見してほしい」と語る。生産物と違って、林業や農業、漁業などの生産現場は輸出入はできない。資源争奪戦がグローバルな規模で過熱することが予測されている。試算すると年間約70兆円にもなる森林の多面的機能の評価額は、森林資源としてのさまざまな価値に市民レベルでも目を向けるべきである。

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