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木の力

・朝日新聞 2011/10/26

木質バイオマスによる熱利用は再生エネルギーのひとつに挙げられる。山形県最上町は面積の8割以上が森林である人口1万人の町である。地元の森の木材チップを燃料とした900キロワットの温水ボイラーを林野庁の補助による設置が進んでいる。2005年から実証試験用に550、700キロワットのボイラーもある。同町農林課の地域資 源エネルギー開発リーダーの高橋明彦さんはボイラー近くの町立の老人保健施設や健康センター、病院などを指しながら「地下の配管を通る温水が熱を運び、暖房や給湯に役立ちます」と話す。これらの施設の冷暖房などに使用された経費が2千万円浮き、地元の林業と製材業の会社が設立した木材チップ会社から、約7千立方メートル分の間伐材のチップを1260万円で買っている。高橋さんは地産地消の効用を「お金が地元で循環し、雇用にもつながる」と話す。ただし、初期投資や間伐には補助金がなくてはならず、さらに木材運搬のコスト削減の工夫をしている。国産材受難時代の中、02年に閣議決定した「バイオマス・ニッポン総合戦略」は木質バイオマスのエネルギー利用を促し、08年度には発電施設は26か所から144か所に増えた。しかし、安い建設廃材などがなくなり、原木から作り出すため割高となり、最上町での実証実験での導入はチップが確保できず断念した。今年2月に総務省の政策評価によると、3割の施設しか計画発電量の75%以上を確保できなかったという。1970年以降、日本の林業は割安な輸入材に押され、生産量が減り、材価も安くなり、経営は補助金なしではいけない。内閣官房国家戦略室の梶山恵司内閣審議官は「まずは木材生産など林業自体を成り立たせ、そのうえで林地残材や製材過程で出る端材などをチップにすれば、コスト的にも見合う」「電気はおまけ。熱を主体に」「発電だけではエネルギー効率は10%程で大半は熱として捨てるだけ。熱主体の熱電併給(コージェネ)なら80%ほどにあがる」と語る。国内の関係者はお手本としてオーストリアを挙げている。「山村だけでなくウィーンなどの都会でも地域暖房に木材チップを取り入れている」と東北芸術工科大の三浦秀一准教授(環境エネルギー学)は話す。オーストリアはバイオマスが全エネルギー供給の1割以上が占め、バイオマスボイラーと各戸をつなぐ温水配管が張り巡らされている。「津波でインフラを失った町の立て直しに、森林は建材としてもエネルギーとしてもうってつけ。化石燃料に頼らない暖房・給湯システムは雇用などかっこうの復興支援策になる」と提案する。

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