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人工的な桜の開花

・日本経済新聞 2010/1/24

真冬にもかかわらず花が咲き始めている桜が、埼玉県和光市の理化学研究所にある。高さ20センチメートルほどの桜であり、 この桜はカンザクラではなく、春に開花する品種の性質を冬にも咲くように変えた、「仁科乙女」と命名された。桜育種家のJFC石井牧場(山形市)と共同開発したものである。JFC石井農場の石井重久氏いわく、通常、桜はセ氏8度以下の低温に1、2ヵ月間さらされて休眠した後でなければ花を咲かせない。冬の寒さを経ずに温度が一定に保たれた温室で栽培された桜は「木の幹が成長するばかりで花をつけることはない」という。しかし、 仁科乙女では、この仕組みを壊す突然変異を起こさせた。温室栽培で、5ヵ月に一度程度の頻度で開花が期待できるという。低温を感じて初めて開花を促すスイッチを入れる遺伝子を、壊すことができたという。突然変異を起こさせるために使ったのが加速器と呼ばれる物理学の巨大実験装置で、物質の正体や構造を調べるためのもので、一見、植物栽培とは何の関係もない代物である。理研はこの装置の直径12.6メートルのリング内で炭素の原子核を光速の半分弱、1秒間に地球を3周する速さにまで加速。その際に発生する重イオンビームと呼ばれる放射線の一種を山形県の代表的な品種「山形13系敬翁桜」の枝に照射し、スイッチ関連の遺伝子を壊した。新芽が出る部位の近くに照射すると効果的なことがわかった。一方、遺伝子に働き掛ける手法を使わず温度差や明るさの管理など栽培法の工夫で植物の成育時期を調節する技術も進歩し、商業利用が本格化している。農業生産に実用化できれば、食糧増産に役立つと期待されている。

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