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新木場・木材会館

・朝日新聞 2010/3/24

常識と思われてきたことを覆した建築といえるのが、東京の新木場駅前に2009年夏に完成した「木材会館」である。この建築は、オフィスビルにも関わらず、ツルツルのガラスで包まれておらず、打ち放しコンクリートの縦じまの間を、木製のテラスやひさしが描く格子がモンドリアンの絵画のように結び、彫りの深い表情を見せている。外側にこんなに木材が使えるのかと建築関係者は驚いた。なぜなら建築基準法で、都市での木材の使用は基本的に大きく制限されてきた背景があるからだ。しかし今回、施主の東京木材問屋協同組合は、「都市建築における木の復権」をテーマに、日建設計に内外に木材を使うことを依頼した。設計チームを率いた設計部門の山梨副代表は、木材会館でのシンポジウムで「薬剤で不燃化した木を使えば簡単だが、重くなり、ぬくもりもない。自然のままの木材を使いたかった」と話した。加えて、2000年に建築基準法は、耐火に関して一定の性能を満たせば木も使えるように改正されていたという。その結果、主たる構造はコンクリートと鉄に任せ、火が出ても上階に燃え移らない、煙がたまらないといった点を解決し、ひさしやテラスなどに木を使った。木材は規格品であるし、将来取りかえや再利用ができるように接着剤は使用せず、金物で留める工夫はしているが、アクロバット的な新技術があるわけでもない。山梨さん「同じような木の建物が一つでもできれば、この建物への評価だと思う」と話している。見栄えの面では、オフィスビルの「新築時が一番美しい」という「常識」に対して、木は次第にグレーに、コンクリートは黄ばんでゆく可能性が高いという経年変化が意識されている。日本の湿潤な気候の中で、次第に表情を変えていく木材会館に、本当の評価を下せるようになるのは追随者の有無も含め、10年以上先のことかもしれない。

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