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外資の森林買収

・日本経済新聞 2010/12/13

北海道では、来年度に森林の土地取引に事前の届け出を求める独自の条例を制定する方針を打ち出した。これは外国資本が道内の水源地を取得する事例が増えており、実態を把握するためである。外資への警戒感が強まっている背景には日本の緩やかな土地取引規制も影響しているが、冷静な議論が必要である。森林などの売買は1ヘクタール未満ならば届け出る必要がなく、道独自に事前の届け出を求めて審査する考えである。道の調査では外資が所有する森林は少なくとも33件、820ヘクタールある。東京ドーム約180個分の広さだ。香港が最も多く、シンガポールやマレーシア、米国などが続く。その外資の取得分の約半分が集中するのが道内有数のリゾート地である倶治安、ニセコの両町である。オーストラリア人に人気だったニセコ地区は最近、中国人の富裕層などを狙いとする別荘建設なども増えている。リゾート開発熱の高まりを受けて、ニセコ町は水源保全などを目的とする条例を来年4月にも制定する。外資も含んだ民間から水源地や水道管の敷設地を買い取って公有化する計画も進行中である。福井県なども外資の森林買収の調査を開始。長崎県五島市は市内に約50ある無人島の所有者を確認する調査を始めた。このように外資警戒論が広がっている背景には2つの理由がある。ひとつは尖閣諸島を巡る中国とのあつれきで高まった安全保障面の不安と不満。2つ目は土地取引制度に起因する問題である。国土利用 計画法には土地取引の事前届け出を義務付ける制度があるが、地価高騰のおそれがある地域に限っており、現在は東京都小笠原村が指定されているだけだ。他の地域では契約後に届け出ればよく、それも一定面積以上に限られる。このため新たな規制を求める動きが出てきたのである。自民党は森林取得者に市町村への届け出を義務付ける森林法改正案をまとめた。国防上の観点から外国人の取得を制限できる外国人土地法の「復活」を訴える声もある。1925年の制定で現在は有名無実化している法律だ。ただし、いたずらに不安をあおるのは問題である。林野庁の9日発表の調査は1ヘクタール以上が対象だが、4年間に外資が取得した森林は北海道以外では兵庫県の1件のみ。国土の3分の2を占める山林と、領海の島々などは置かれた状況が異なり、区分けして考えるべきである。省庁や自治体内部の壁を越えて情報共有に努めることが必要になる。

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