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伝える技

・読売新聞 2010/1/31

春日大社では、20年に1度、本殿4棟などをもとのままに建て替える「式年造替」を行ってきた。明治以降は、国宝や重要文化財に社殿が指定されたため、新築されず大修理にとどまるが、意味する所は変わらない。今、大社では60回目の節目となる造替の最中で、祭事を行う直会殿の檜皮屋根のふき替えを2009年末に終えたところだ。この造替は奈良時代から行われていたとされ、創建当初から変わらない社殿の姿を伝えている。また造替が20年に1度という期間には、1つの目的がある。それは、技の伝承だ。職人は生涯に2、3度、造替に関わることになる。若手で経験する初めての造替で、文書で説明できない伝統技術を学ぶ。そして、壮年、老年で関わる2、3度目は作業の中心になると同時に、次世代に技術を引き継ぐのである。本殿の檜皮屋根をふき替えた谷上永晃さんは、35年前に職人として参加した際に、先輩から受けた「曲線に沿って檜皮をふけ」などといった注意を思い出すという。そして、「そうしないと、雨漏りして見栄えが悪くなる。檜皮ぶきは型紙のない世界。決まりごとは口伝えで教えるしかない」と話す。春日大社の宮司は、「造替にかかわるのは神職や職人だけではない。ゆかりのある人すべてが、先人たちが工夫を凝らした大社独特の造りや技術を伝えるのです。真心のこもった社殿を次世代に残さないといけない」言う。

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