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千古の森

・読売新聞 2010/1/30

奈良市には「春日山原始林」が約300ヘクタール広がっている。これほど広い森が都市に隣接する例は世界でも珍しい。なぜなら、農林業の発展につれて、カシやシイなどの昭葉樹の森林の多くは破壊されてきたからだ。しかしこの地は841年に春日山や御蓋山の周辺一帯が神の土地として、狩猟や伐木が禁止されたため、原始林は手つかずのままに守られてきた。ところが、この原始林に危機が忍び寄っている。大阪産業大学の前迫ゆり教授によると、倒木や落雷などで高い木がなくなった空地「ギャップ」が、森林をむしばみ始めているという。本来ギャップがあると、地上に光が届くので新世代の樹木が育ち、それが森林の多様性や活力の源になる。だが、春日山原始林では、鹿が増え、幼木や芽生える前の実を食べてしまう。そのため次世代の木々が十分に育たない。「人と自然、鹿の共存を考え、方策を早急に立てないといけない」と前迫教授は話している。かけがえのない「千古の森」を将来に残すための、第一歩を踏み出すときが来ているようだ。

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